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第39話 ◇夫がやって来た

Author: 設樂理沙
last update Huling Na-update: 2025-04-15 13:01:50

39.

 その夜、夫には別の部屋に布団を敷いた。

 納得できないまま、それでももうしばらくこの町に

滞在していたいという私の意志を尊重してくれて

夫は翌日、帰って行った。

 お金に困るといけないからと、かなりの額入れてある

通帳とカードを渡してもくれた。

 そんな夫を駅まで見送りながら、私はもう帰らないよ、と

胸の内でつぶやいていた。

 夫には旅に出ると言い置いて家を出た私。

 息子たちには帰って来るのか帰って来ないのか、どちらになるか

分からないけれど落ち着き先が決まったら、ちゃんと連絡するから

と、出発前に話していた。

 息子たちからはお母さんの冒険が成功することを祈ると応援して

もらっていた。

 小さな頃から夫や私のことを側近くで見て育った彼らは、どんな時も

どんなことになっても、自分たちは私のことを信じ応援するよと

言葉に出してくれて、それが私の心の拠り所だった。

 夫を見送ったその後で、ほぼ毎日行く畑へ出掛けてみた。

 元々この畑は西島氏のもので、私は畳3帖分位を間借りしている

だけ。

 畑だけの子守をしていられるわけではない私にはちょうど

いいくらいの広さだ。

 そんなだから作る作物の種類も限られている。

 作ってない野菜は師匠の西島氏から分けてもらったりしている。

 私はキュウリ、トマト、茄子、イチゴくらい、作ってるって言ってもね。

 キャベツや大根、生姜玉葱は、彼から許可を貰っていて

ほしい時に収穫しても良いことになってる。

 畑耕すおじさんだけど、本業は小児科医。

 こちらに来て一番驚いたのが西島先生との再会だった。

 西島さんは長男と次男が子供の頃ずっとお世話になっていた

小児科医だ。

 おまけにうちの長男と彼の息子さんが同級生でもある。

 3年前に奥さんを病気で亡くし、ここに来たようで。

 ここでは診療所で週4日勤務していて、以前のようなハードな

働き方は止めたのだとか。

 メインではなく助っ人要員待遇らしい。

 それでも子供相手のことなので時間外勤務はあるようだけれど。

 医者と患者の保護者という立ち位置でしか交流のなかった人。

 今は週に何度か大自然の中、同じ畑で互いの存在を感じながら

野菜を栽培。

 時に寡黙に黙々と、時に思いついたことを訥々と話しながらする

畑仕事
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  • 『願わくば……』   第40話 ◇耳ダンボで

    40. 私はこの町で思った以上の収穫をした。 ひとつめは、猫のコウと仔猫のミーミ。 ふたつめは、西島さんという隣人? 友人? だ。           みっつめはキャンプ場のオーナー夫妻と飼われているたくさんの犬&猫chanたち。 夫を見送った日の夜、こんな事柄をコウとミーミに話しながらいつしか夢の世界に入っていったのだった。           ◇ ◇ ◇ ◇ 実は夫がいきなり畑へやって来た時、離れた場所に西島さんがいたのだ。 敢えて?こちらに近付いて来なかったのか? きっと西島さんもどんな対応をすればいいのだろうと、微妙だったと思うけれど、ひとまず今回夫とはじめましてをしに来なくて、ほっとしている自分がいる。 離れていたから私たちのやり取りはあまり聞こえていなかったと思う。 そこも少しほっとしたのだった。 だけど……。 それから3日後、又畑で会った時、西島さんからからかうように言われた。「ご主人、あなたを迎えに来ていたんでしょ?一緒に帰らなくてよかったんですか? 息子さんたちも寂しがっているかもしれないですよっ。」「あらぁ~~!!! あーんなに離れた場所にいらしたのに、随分と地獄耳ですことぉ~! 耳、ダンボにしてたんですか?」「そりゃぁ~、葵さんのご主人らしき人が来たんですから耳は超特大ダンボでしたよ。 Hahaっ」「えっ、なんか……ちょっと、はずかしっ」「大方は、僕の推理ですよ。ほんとはね、耳ダンボで頑張りましたけど、僕のように普通の人間レベルじゃあ、あなた方の会話を聞き取ることはできませんでしたからね」   「なんだ、そうなの? あせっちゃった、はぁー。 西島さん、推理、遠からずってところでしょうか。 こんな素敵な場所で暮らせるchanceを手に入れたんですものなかなか、帰れませんよ。 それにこんなふうにひとり暮らしすることは、もう随分何年も昔から夢見て計画してのことなんです」 「じゃあ、しばらくご主人は寂しく過ごさないといけないわけだ。 こんなところまで来たっていうことは、かなりキテますよ、きっと。 先日、どーしようか迷ったのですが、やはりあなたの知り合いとして声掛けなくて正解だったようですね。 僕なんかがご挨拶したら、ご主人あなたのことが心配になって首に縄をつけて

    Huling Na-update : 2025-04-15
  • 『願わくば……』   第41話 ◇女は逞しい

    41.『よけいな気を遣わせてしまって、すみません。実は私、正直なところこんな田舎町まで夫が迎えに来るとは思ってませんでした。 男女問わず友達の多い人ですし。 そんなわけでまぁ、寂しさから迎えに来たかどうかは微妙です。 息子たちは理解があって、もしこのままずーっとこの地で暮らすことになっても、応援してくれると思うんです。 ここでの暮らしが殊の外《ことのほか》気に入ってしまって、もしかしたらこのままずーっと居続けるかもしれませんので、西島さん、今後とも仲良くして下さいね。』                「いえいえ、こちらこそ!そうですか、僕はてっきり半年かそこら、長くて1年くらいでここの暮らしを終えて家族の元へ帰られるものだとばかり思っていたので、正直少し驚いています。 僕もおそらく何か突発的なことでもない限りは畑を細々とやりながら、このままこの町で暮らすつもりですから畑はずっと使っていただけると思いますので、ご心配なく。 僕自身もここでは他所からの居住者(よそ者)ですから同じように他所の土地から移って来た人と接すると、正直なところほっとする部分があります。 まぁ、住めば都なんですけどね」        『私も知らない土地で不安だらけだったのにこちらに来てすぐに西島さんと再会出来たのは幸運でした。 しかも、念願だった野菜の栽培もすぐに畑をお借りしてできることになって、今でも嘘のようです。 コウやミーミと暮らせるようになったことも幸運でした。 この町は、私のLuckyそのものです。 このまま元気に働き続けて、この美しい山の里の近くの町でずっと暮らしていきたいと思ってるんですよ』         「それじゃあ、ご主人も寂しさに負けていずれ荷物背負って葵さんのところにやって来そうだな」 『……えっ!そういうの、全然考えてませんでした』 「なんか、女性の方が逞しいってことが分かりましたよ。ハハッ。」

    Huling Na-update : 2025-04-15
  • 『願わくば……』   第42話 ◇健康法を聞く

    42.  西島さんから言われて、ふと考えてみた。  夫が寂しくてここに来る?  そして、私とここで暮らす?  まず第1に寂しがったりするまい。 巷に相手をしてくれる女がわんさかいるしね~! 『……って、西島さんは知らないからね~』 あの派手なヤリチン男がこんな過疎ってる何ぁ~んにも 娯楽のない、ジイちゃんバアちゃんが多く棲息している 所に来るとは200%ないないっ。  そんなやこんな、胸の中で考えていたら可笑しくなった。                  私の頭の中を知ったら、普通の結婚生活を送り普通の良識に 基づいて暮らしてきた西島さんは、仰天することだろう。                私の夫は普通じゃないので、その妻の私も普通の反応ではないの じゃぁ~。  そんなふうにいろいろ西島さんとのやり取りで疲れてきたので 話題を変えてみた。 『私、知り合いに医師がいてすごくLuckyって思っているんです。  何かあっても、すぐに相談できる人が身近にいるってすごいこと だなって思って。安心感が半端ないわぁ~ン』  ちょっと、勢い余ってタメ口になった。 「コホンっ、葵さん、頼りにされるのはやぶさかではないですが 僕は小児科医です……。」  『子供も大人も同じ構造をした人間ですから、大丈夫ですってば 信頼してますからぁ。頼りにしてまぁ~す』     「参ったなぁ~。まぁ、普通の人より少しはお役にたてるかも しれませんね。だけど、健康に良い献立での食事、ストレッチに 適度な運動を心掛けて、病気しないのが何よりです。 認知症予防には食物繊維+たんばく質を毎日しっかり取することも 大切なんですよ。  あ~、それと血管の老化を防ぐ事もね。  この血管の老化を防ぐには食事+運動+睡眠が大切で、 血液サラサラに するのには玉葱がいいです。 後、これから老いを迎える僕たちにすごく必要なことになってきますが。 先で寝たきりにならないためには全身を支える大黒柱の大腰筋 《だいようきん》を鍛えることが大切で、死ぬまで元気に歩けるか どうかは大腰筋を衰えさせて細くさせないことが大切です。たんぱく質が不足すると筋力が低下してくるので運動と共に 摂取が欠かせませんね。 葵さんは心配しなくても、食事面は大丈夫そうだ

    Huling Na-update : 2025-04-16
  • 『願わくば……』   第43話 ◇生かされていることに感謝

    43.  この日は西島さんより先に畑から引き揚げ、じゃがいもと 人参をふんだんに使った、すでに作り置きをしていた おいしいクリームシチューを19時頃に西島さんの家に 届けた。 ウインナーとサラダも付けて。  畑を貸してもらってるお礼に、時々こんなふうに差し入れしている。 今回はたくさん作れたのでキャンプ場の経営者の沙織さんの ところにも届けてきた。    「うぎゃぁ~、一品増えてうれしやぁ~」と沙織さんが喜んでくれた。 私がこの地に来たのは、年が明けて人々の生活が正月気分から 抜けた頃、今から2か月前のこと。 息子たちがまだ小さかった頃から、いつか、きっといつか 自分の本当に幸せを探すために、住んでいる街から……夫の家から…… 出て行こうと考えてきた。  旅に出ると言って家を出たのには理由があった。 50才になりアラ還目前の女がひとりで生きていくというのは 長年計画してきたこととはいえやっぱり限りなく不安なものだ。  万が一、新天地で上手くいかなかった場合は、ひとまず次の chanceを待つこととし、速やかに撤退して家に戻ろうと 画策していからだ。  ズルいかもしれないが、行き当たりばったりだけでは 幸せになどなれない。時には打算も必要なのだ。     いろんな種類の木々が連なり、多種多様な季節毎の草花が 咲き乱れている桃源郷のような山の麓の暮らしは、どうして もっと早くここを知らなかったのだろうと思わせるほど 魅力的なものだ。 毎日不自由な身体で、それでも歩き周囲の草花を堪能するコウ 家に居る時いつも仔猫のミーミのお守りをしながら、私の傍らに 居てくれるコウ。大好きだよ!               毎日、毎夜コウの何ともいえない深みのある瞳と顔を見る度 私は涙する。生きてることに……生かされていることに……より一層感謝する。 コウは私にとって偉大な存在。私は本当にコウに恋してしまった。 バカバカしいと思われようと、恋しちゃったのだ。自分でも自分がおかしくなって、いつかこの今の恋する気持ちは 失われて普通にペットとして好きなだけの気持ちに落ち着くのかも しれないと思いつつ、とにかく今は恋しく想う気持ちを止められない。  そして恋する対象に出会えた私は今、とても幸せだ。

    Huling Na-update : 2025-04-16
  • 『願わくば……』   第44話 ◇夫の杞憂?

    44.  妻の居る町へ行って来た。  妻が、旅に出ます、のひと言を残して家を出て行ってから 2か月。  どう考えても旅にしては長過ぎる。 だが、当初はいうほど心配していなかった。 初めて出た長旅に堪能したら、帰って来るだろうくらいにしか 考えていなかった。 だが姉から自分の今までの行いを鑑みたら、葵は帰って 来ないつもりで出て行ったのではないかと、叱責され ここで初めてもうこのまま家族の暮らすこの家に戻って 来ないんじゃないか、途中で連絡もなくなり姿を消して しまうんじゃないか、妻を見るまではそんな不安にばかりに 襲われた。 怖怖(こわごわ)、いつ帰って来るのかと何度かメールを 打った。 しばらく、滞在してみたい場所が決まったからと、やっと 居場所の連絡があり、矢も盾もたまらず葵のもとへ会いに行った。 彼女からは、ずっとこのまま帰らない、の言葉はなかった。  もうしばらくここの暮らしがしたいと言われて、少し 不安が払拭された気分だ。  自分の考え過ぎだったかと。 仕事のこともあるので、今すぐというわけにもいかないが 自分が先で妻の暮らす町に行き一緒に暮らすという選択も 考えてみることにした。      そう思えるほど、自然に囲まれた静かで美しい町だった。             ◇ ◇ ◇ ◇ ずーっと、夫に裏切られ続けてきた私は、人を信じられなくて どこか壊れてしまったのだろうか?  どうしてこんなにもコウに気持ちを持っていかれて しまったのだろう。 その理由を考察してみた。  ずばり、人間不信が根底にあるように思う。  どーして今まで気付かずにいたのだろう。  年を重ねる毎にどんどん私は周りの人間に不信感を募らせて いったというのに。      

    Huling Na-update : 2025-04-16
  • 『願わくば……』   第45話 ◇葵の生い立ち

    45. まず母について、 私の子供時代の記憶の中で母はいつも怖い存在として 認識されている。 理不尽なことをされることがよくあった。 怒られているわたし。  泣いているわたし。  悲しい想いをしているわたし。  ちっぽけな私の意見が尊重されることなど皆無だった。 母は、忙し過ぎていつも疲れていて、小さな子供の気持ちに 添うということなどとんと考えもつかなかったみたいだし そんな思い遣りを持つほど、余裕もなかったのだろう。      けれど、この私の気持ちを尊重しない態度は、私が 成人してからも続いた。 その横暴振りは適齢期に入ると更にヒートアップしていった。  年の離れた長姉(ちょうし) 父親の自営の仕事がなかなか軌道に乗らず、長年 貧困時代が続き、勉強がよくできたのに大学進学を諦め 就職を選んだ姉。 孝行娘だった姉は、両親が頼りにできる娘であり、相談相手 にもなりうる大切な娘だった。  そんな姉が母から怒られたりしているのを見たことがない。    姉は幼少の頃より長い間、子供時代を遠い田舎にひとりで 住まわされていた。(近所に親戚多数----見守り有)  田舎にあった持ち家にひとりで住んでいたのは小学生に なってから。  それまでは(2~3才頃から小学校に上がるまでの間)親戚の 人の家で世話になっていたようだ。  ちょっと普通では考えられない境遇で、親は親なりに いろいろと事情があったかと思うけれど、どうにかならなかった のか、と思ってしまう。 年の離れていた私は両親とずっと一緒で離れて暮らしたことはない。   反して長姉は結局中学卒業するまで田舎で独り暮らし 私たちの暮らす街にやって来たのは高校入学と同時だった。  姉が家族と一緒に暮らしたのは結局高校時代の3年間だけである。 そんな姉は就職と共に家を出た。 ということで、私が長姉と暮らしたのは3年間のみ。  親だってほぼ同じようなもの。  なので親としては、姉に対する遠慮もしくは、後ろめたさ みたいなモノがあったんじゃないかと思う。 姉はとっても親孝行な娘だ。  田舎にひとり取り残されていた愚痴も聞いたことがない。  だが、私には昔から意地悪で厳しい。  ちっぽけな取るに足らない存在として扱われ続けている。

    Huling Na-update : 2025-04-16
  • 『願わくば……』   第46話 ◇幸せな時もあった

    46.  結局母親と姉からヤンヤ・ヤンヤとせっつかれ嫌な思いを したお見合いだったが、なんのことはない。  私は夫にアプローチされ、社内恋愛であっという間に 22才で結婚した。そして悪夢の日々は終わった。                 結婚して夫という後ろ盾が出来ると母も姉も 手の平を返してきた。 夫がいる私はちっほけな存在から卒業したようだった。      子供ができると更に私はやさしく大切にされるようになった。  夫という後ろ盾+子供という素晴らしく愛らしい宝を 私が手にしたから。        姉夫婦に子供はできなかった。  夫と結婚し可愛い子をふたりも授かり実家からも大切にされて あの頃が私にとって最高に良い時代だったように思う。 幸せな時間を過ごすうちに、私は悲しかった過去を忘れて いったのかもしれない。  けれど、次男が産まれたあと、今度は夫の理不尽な言動に どんどん傷つけられていった。    これではいけないと思い、自分をこれ以上傷付けないための 方法を考え、強い意志でそれを実行してきた。  子供たちと自分を守るために!  長年に亘る結婚生活でほんとに人間不信、夫不信になって しまいある時、気付いてしまった。  夫が最大の人間不信の元凶ではあるが、その原因が夫だけじゃ なかったことに気付いた。  一番身近な肉親からも私は幼少の頃から大切になんてちっとも されてなかったってことに。  どーして忘れてなんていられたんだろう?           私は夫という信頼のおける、そして私に愛情を注いでくれる 人との暮らし(結婚後数年間)があまりに幸せで、幸せとは いえなかった実家での暮らしを忘れていられたのだろう。  そのことに愕然とし、寒気を覚えた。 そしたら突然自分の足元が崩れ落ちていくような錯覚に陥った。   結婚でやっと幸せに……と思ったのも束の間、自分が持つ 家庭もやはり安住の地ではなかったのだ。 けれど、救いはあった。  夫から経済的には補償されていたし、日々の生活において 圧力がかかったことは一切なかったこと。 重いモノは必ず率先して持ってくれたし、日曜大工でさまざまな便利に 使えるモノも時には作ってくれたり。 やさしい人ではあった。  

    Huling Na-update : 2025-04-17
  • 『願わくば……』   第47話 ◇恋してる

    47.   コウと暮らすようになって、私は幸せで、幸せ過ぎて……。  幸せだなぁ~って、感じるといつも泣いた。               悲しい時に泣くのとは少し違っている涙。 泣くという行為は同じなのにね。 流す涙の違いを知った。 コウは麻痺の不自由な身体で毎日一生懸命お散歩したり、 私が帰るといつも必ず出迎えてくれる。      そして、寂しい時にはいつも側にいてくれるコウ。  今では私の唯一無二の存在。  私はコウに毎日恋をしている。          猫に恋するっていう言葉を使うのは変かもしれないけど  他に言葉が見付からない。 私は確かにコウにFall In Love. 息子たちも愛おしい存在だけれど、比べようもないほど私は コウに首っ丈なのだ。  幸福の幸という文字を取ってコウと名付けた。 コウには麻痺や他にも病気がある。  調子が悪くなった時、病院行けるよう、いっぱい働くからね。 聞いてたコウがひと声、ニャァ~と鳴いた。  仔猫のミーミは、1匹だけ畑に置き去りにされていたのを拾った。  母猫が育児放棄したのかもしれない。  コウは雄なんだけど、子育てがとっても上手なイクメン猫だった。  仔猫を育てたことがないのでものすごく助かった。  コウ、頼りにしてるよっ。  かっこイイ、イクメンさん。 ミーミはすっかりコウのことをおかあさんだと思ってる。 出ないおっぱいフミフミして、吸ってるぅ。                この2匹の光景は私の癒し、しあわせぇ~。  

    Huling Na-update : 2025-04-17

Pinakabagong kabanata

  • 『願わくば……』   第59話 ◇一生の宝

    59.  「賢也、智也、私ね……愛すべき貴方たちふたりの息子を 授かれたことは本当に私にとって最高のプレゼントだって 思ってる。 だから、夫婦としてお父さんとは上手くいかなかったけど 全てが駄目だったってわけでもなかったと思うの。 今が一番大事だからね、一生懸命前向きに生きるわ。 ここに来るには、ちょっと時間が掛かるけれどいつでも来て。  おいしいモノ作って待ってるから」「ぜひそうする。  ほんと、ここは自然に恵まれていていいところだね。  仕事のことがなかったら、俺もこんなところで暮らしたいよ」 と賢也が言った。 『オレも年とったら、畑してみたい。かあさんがここで 根付いてくれてたら、将来こちらに住む拠点も移しやすそっ。そういう意味でも、かあさん、頑張ってくれよんっ』 と今度は弟の智也が続いて言う。 「西島の父ちゃんがその頃になったら隠居生活に入ってる かもしれんし。譲ってもらえんとも限らんから、おまえ 貯金しっかりしとけっ。」『おっしゃぁ~、お金溜めるべぇ~』 久し振りに会った息子たちはコウやミーミと戯れたり畑へも 一緒に行って野菜を収穫したり、自然を満喫して日曜の午後 帰って行った。  帰ってゆくふたりの背中を見つめ、彼らの行く末が幸多かれと 願わずにはいられなかった。  いつもじゃなくって、瞬間々なんだけどね  幼い頃の息子たちとの日々を思いし懐かしむことがある。  そんな中でも私の荒(すさ)んだ気持ちを解きほぐしてくれた 出来事は私の一生の宝だ。

  • 『願わくば……』   第58話 ◇哀れな夫

    58.「うん、かあさんの言ってる意味すごく分かる。 僕もそのたったひとりに早く出会えると いいんだけどね」 『出会えるといいわねぇ~。お兄ちゃんもね。  お付き合いすることに関しては難しいことなんてひとつもないの。  自分をさらけ出せて、相手のことも受け入れて互いが誠実に 向き合えばいいだけのこと。  自分のことしか考えられなくなると、ふたりの関係は 終わっちゃうからね。  それとね、良い出会いがなくても、焦らなくていいのよ。  どうしても結婚しなきゃいけないなんてコトでもないんだし。 少し寂しいかもしれないけど、ぼちぼち自分のペースで 人生を歩んでいけばいいと思うわ。』          「「かあさんと久し振りに話できて良かったよ」」 口を揃えてふたりが言った。 「私も。いつかこういう話、しておきたかったから」  息子たちは夫とは真逆のタイプで、片思いばかりでよく 振られるみたいだ。  でも、彼らは若いから、これから……これから。 だけどそんな息子たちを横目にいつかはと思っていたので 今回、私が今まで話したいと思っていたことをちゃんと 伝えることができて良かったと思う。   「かあさん、新しい生活にも慣れて本当に幸せそうだね。 かあさんに離婚を言いだされてから父さん、哀れなもんだよ」 そう、賢也が夫のことを切り出した。「そうなの? 逆だと思ったけどぉ? 大っぴらに行動できて、ウキウキかと思ってた」「表向きはね。いままでと同じように振舞ってはいるけど、何か 精気がないっていうか覇気がないというか。  雰囲気変わったよ、やっぱり。  だいぶ、痛手追ってるんじゃないかなぁ。 まあ、昔と同じようにモテる自分に酔ってるけど60才近いアラ還の 既婚モテ男なんかに近付いてくる女なんて、碌なもんじゃないし 所詮、遊び相手にしかならないんだよ。    仲の良い夫婦なら毎日穏や

  • 『願わくば……』   第57話 ◇素敵なLove Story

    57.  こんな話を聞いたことがあるの。  研究職のA夫さんは、大学、大学院そして就職してからも 周りは男ばかりの環境の上、研究熱心で仕事一筋。 男女の色恋事にはトンと疎い人でね、結局恋愛での御縁は なくって親の勧める女性とお見合いして結婚したの。 真面目な人でね、余所の女性に余所見することもなく奥さんと 3人の娘さんたちを育て上げ、嫁に出した後も今まで通り仕事から 帰って来ると夜遅くまで書斎に籠もって研究のための文献を読んだり する日々で。  特に奥さんを喜ばすようなことを形や言葉に出してすることもなく 結婚後、そうしてきたように日々を粛々と過ごしていたのね。  子育ても専業の奥さんにまかせっきりで、典型的な日本の昭和頃 までの父親っていう感じできてて。 だけど、奥さんの子育てや日々の暮らしの中でのことには、いちいち 文句を言ったりして奥さんを不快にさせたりはしてなかったの でしょうね。  そして、やさしさもあったのだと思う。 だって、そのA夫さんの奥さんはね…… 旦那さんのことをとっても愛していたから。  ある夜のこと、A夫さんがいつものように書斎に籠もって研究のための 勉強をしていたら、お茶を持ってきた奥さんがお茶を机の上に 置くと同時にA夫さんの耳元で小さな声で『愛してる』って おっしゃったんだって。  恐らくいきなりの言葉に旦那さんの耳には--------------------------------------------------------アイシテル....ン? Aishiteru...Un? あいしてる...愛してるぅ? ホント? キキマチガエジャナイヨネ?--------------------------------------------------------だったんじゃないだろうか! 奥さんから告白された『愛してる』の言葉をどう受け止めれば いいのか、おたおたしたみたいだったから。  自分たちは大恋愛の末に結婚したわけでもないし、今でも週に2度ほど ある夫婦生活でも、互いに愛してるなどと言葉を交わしたことは 一度もなかったはず。   どういうことなんだ、これは? 妻の真意は?  言葉で伝えられたA夫さんは、オロオロ・ドキドキ。 奥さんの真意がどこに

  • 『願わくば……』   第56話 ◇人は折り合いをつけながら生きていくものなの

    56.  心待ちにしていた金曜がほどなくして訪れた。  金曜の夕飯は、私が仕事でも作っているピザを息子たちに 振舞った。 仕事の合間に、3枚余分に焼かせてもらっていたので 息子たちと一緒に、自宅に帰るとすぐにオーブンに入れるだけで すぐに3人でピザを堪能することができた。 「かあさん、智也ずっと片思いしてた子に告白したけど 振られて、コイツ元気なくしてしまってさ。 それで気分転換も兼ねてかあさん家へ来たってわけ!」 「兄貴、改めて言われてオレ凹むわぁ~! オレの恋愛運は親父が根こそぎオレの分持っていってん だよ、ゼッタイ! 親父の子だってのに、どーしてこんなにモテないんだ?」 「それっ、、俺もほぼおまいと同じだから。 スッゲェー、お前の気持ち、言いたいこと分かるわ、マジで!」  「何度かごはん食べに行って、コンサートへも行ったりしてたから 脈有だっと思ってたんだけどなぁ~。 改まってちゃんとした交際を申し込んだから、他に気になる人が いるからごめんなさいって言われた」 『そっか、残念だったね。  だけど、女子と一緒にごはん行ったり、コンサートに行ったことは 智の経験値になってるし、無駄なことじゃなかったと思う……。 交際申し込んだこともね。 お父さんのモテ方が、異常なのよ。比べることない。  同じ血が流れてても、お父さんと違って貴方たちは女の子にモテ ないのかもしれないけど、ちっとも悲観することないのよ? この世でツガイになれる相手はたったひとりなんだから。 ひとり、そう、1人。 愛し、愛してくれる人がいたらいいの。 大勢にモテる必要なんて、ちっともない。  そしてね、人が皆がみんな、今生でそのたったひとりの人に 出会うことができるとは限らないっていうこともね、 知っておいてほしいの。 自分の好きな人が自分を見てくれないってこともあると思う。  好きな人と結ばれることのできる人、残念なことにできない人も いる。 いろんな条件の中で折り合いをつけながら生きていくの。  もちろん、逆もあるしね。 いくら好いてもらっても、応えられないってことも あるかもしれない』

  • 『願わくば……』   第55話 ◇夫の悪あがき

    55. 葵に付き合っている男がいるか興信所に頼むことにしよう。 自分でも最低なことは自覚している。 だが、妻だって以前の妻ではなくなってるんだ。 もし、少しでも怪しい関係の男がいたら男共々金銭的に追い込んで葵が自分の所へ戻って来るしかないようにしむける。 巷の浮気や不倫した女性達の末路はよく見聞きして知っていた。      夫や不倫相手の妻から慰謝料を請求され、挙句は間男(浮気or不倫相手)に捨てられ、必ずといっていいほど生活に困窮して夫に復縁を願い出るのが常で復縁を迫る言葉等、テンプレ化されているほどなのだ。 そう考えが纏まると、葵がどこかの誰かと付き合っていることを願うようにさえなっていた。 だがその一方で、他の男と仲良くしている妻を許せるだろうか?という問題にぶち当たり苦しくなった。 この頃の俺は、妻を散々苦しめてきたことを反省することもできず完全にトチ狂っていたようだ。そんな俺は即日興信所を探し、間もなく契約した。            ◇ ◇ ◇ ◇ 息子たちとは会わずにこちらの我が家に帰って来た。 少し気にしていたのだけれど、丁度というか良いタイミングで長男から連絡が入った。 次男と次の金曜の夜から2泊で私の顔を見に来るとのこと。 モチロン大歓迎。おいでませぇ~だよ。 ふたりなら、丁度良い。 私が仕事の間は家にいてゆっくりするなり、近隣を散策するなりふたりでゆっくり、こちらの素敵な景観を堪能してもらえばいいし、たった2泊とはいえコウやミーミとの生活は楽しんでもらえる自信がある。         本当に彼らとの生活を重ねる度、今まで動物のいない乾いた生活がどうして当たり前のようにできたのかを不思議に思うほど、素晴らしいものだから。 私は生まれ変わったら 農園とか果樹園とか自然と共に…… そして犬や猫たちと一緒に…… 幼少の頃から暮らしているような境遇に巡り逢わせてくださいと今の暮らしを幸せと感じる度に神様にお願いしている。       

  • 『願わくば……』   第54話 ◇決めつけんな

    54. この後も延々と夫は"ナンダカンダ…… ソレデアレデ……"←グダグダ何か必死で話してた。 途中から、私の耳は夫の声をShut Outしてしまった。 私はコウやミーミのこと、畑の作物のこと、次は西島さんにどんな献立を考えてあげようかなとか、沙織さんたちと今度はいつ女子会しようかなとか、気が付いたらあちらでの生活圏のことばかり考えていた。 言うべきことは言った。「じゃ、よ・ろ・し・くぅ !」 私はそのまま息子たちと会わず、帰路に着いた。            ◇ ◇ ◇ ◇ 葵にとって俺の存在は虫ケラのように小さなどうでもいいモノになっていて、正直驚きを隠せなかった。 俺の異性に対する魔力は1mmも葵には効かないらしい。 彼女の前では60才手前の只のクソ親父に過ぎないようだ。                    だんだん惨めにも思えてきたが、何とか口達者を自称している俺は妻を言いくるめようと、しゃべりまくった。 はぁ~、疲れた。 葵の目と耳には、俺の姿は映らず声は届かず……だったか! 敗北感が襲ってきた。 彼女はその辺に転がってる石よりも強固と思えるほどでその意志を曲げることなく、帰って行った。 はぁー、参った。 はぁー、疲れた。 ホント、疲れたぁ。 ほんとにぃ、アレ(葵)一体誰だよっ! 俺はテーブルに額を打ちつけ、凹んだ。            ◇ ◇ ◇ ◇  姉貴の言ってたことが当たったってわけだ。 参ったわ。 女を舐めるんじゃないって吼えてたけど、ほんと俺葵のこと舐めてかかってたわ。 だが、離婚だけは何としても阻止したい。 理由(わけ)なんか、そんな小難しいことじゃないさ。 愛情がないのに執着するのはおかしいって言われたけど 決めつけんじゃないって、ほんとは声を大にして言いたかった。 俺は、葵を息子たちを……家族を捨てていいと思えるほど醒めているわけじゃないんだからな。 決めつけんなって! 見てくれだけで寄って来る女はいても、精神的に支えてくれるような女がどこにでも転がっているわけじゃないさ。 整理整頓の行き届いた居心地の良い部屋、健康に配慮された献立でできた美味しい食事、子供たちが健全に過ごすことのできる明るくて暖かい家庭、60才を迎えようとする俺に

  • 『願わくば……』   第53話 ◇意味の無いオファー

    53.「あなたとなんてよりを戻したくないの。でも、納得しないから納得できるように条件出してあげてるんじゃないの。 それになんなの? その執着。 愛してもない妻にどうしてそんなに執着するのか意味分かんないわ、全く。 家族、近所の人たち、親戚、知人、友人、もうあなたがしてきたことなんて知ってるんだし、私があなたの元を去ったからって誰も驚きやしないし、あなたを責めたりだってしないんじゃない? 25年だよ?  皆、遅いくらいだぜとは思うかもしれないけど。 あなたは何も気にすることはない。 私こそだよ。この25年間、皆からたぶん可哀想な奥さんって思われてきて、本当に私は気の毒な女なんだよ? あなたも私もナーンも失くすモノなんてないんだから。別々の人生を歩んだらいいのよ。分かった? 結婚直後から始まった数々の女性との浮気の証拠、流石に全部とはいえないけど、その手のプロに頼んでとった何人分かの証拠と最近のモノで言えば小野寺さんのモノも、ばっちり証拠を掴んでるから慰謝料も請求します。 話し合いが拗れた場合は弁護士を入れて裁判も辞さないつもり。  本気なのでちゃんと考えてください。  昔のモノは裁判で効力ないと思うけれどまぁ、裁判官の心証に訴えるのに少しは役立つと思うから、情報として一応提出するつもり。 あなたが私たち家族にどんなに非常で残酷な夫であったかが白日の下に曝されるわね。 あなたがほんの小さなことと考えていることを周りの人たちにJudgeしてもらえる機会でもあるわけ」 「葵、君の忌憚のない意見を聞く今のいままで本当にそこまで君を傷つけ悲しい思いをさせていたことに気付いてなかった。 ほんとにごめん、すまない。  昨年の宣言は本心だ。良い夫になる。 もっともっと君につくす。 だから、結論をそう急がず時間をくれないか。  よく話し合おう!  何も今からシングルになって働いて苦労しなくてもいいじゃないか。 今のままなら、経済的にも精神的にも俺が守ってやれる。 50才を過ぎてアラ還になって仕事するって思ってるより大変なことだ。」「貴司さん、どーしてそれを25年前に、まだまだ私たちが若かった頃に言ってくれなかったの? 聞きたいのは私のほう。 どうして60才間近になってからなの? 自分の老後の保

  • 『願わくば……』   第52話 ◇戻らない

    52.  あの日から、あなたのことを夫だと思ったことはない 愛情もなかったのだと、言い切った。  愛情もなかった……ほんとに? あったかもしれないし、今公言したようになかったかもしれない。  もうそんなことはどうでもいい、瑣末なことだ。  今の私には。 何より夫を傷付けてやりたいのだ。  コテンパンに!  だから、愛情もなかった……でよいのだ。 「あなたがずーっと、私以外に余所の女と付き合ってたの25年間だからぁ、 少なくとも25年は待っててもらわないと無理。  今からだと軽く80才ちょい』越えになるから、お互い元気で ないと又、一緒に暮らせないわよ。 健康のためにちゃんと食事の献立に気を付けて長生きして下さい』 「それ、本気言ってるのか?」「本気もほんき。 だけど、どうせ待てないでしょうし……って、待たなくていいから。 あなたなら、今だってその辺歩いてるだけで好きすきぃ~ 付き合ってぇ~抱いてぇ~って、女が何人も出てきそうだし 若い子と誰に遠慮することなく、欲にまみれた人生をこれからも 続けていけばっ……!』 「待つよ、ずっと待つ。 君が俺の家に帰ってくれるまで80才までだって待つさ」 『Non,Non. ただ待つだけじゃダメっ! 清い身体で待ってないとね。病院へ行って男性機能使えないように手術してきてよ。できる?  あなたのようなヤリマンの浮気男の代表みたいな人には 到底無理でしょ?  これまで25年間、妻ひとりでは満足できず1000人切りまでかは 知らないけどそれだけ欲に貪欲だったんだから、死ぬよりつらい ことかもね。  できる? できないでしょ? だから、待たなくていいのよ。  この条件冗談で言ってるわけじゃないから。 この申し出の意味をちゃんと今理解出来てないと思うから 言っとく。   万が一、あなたと復縁したとしても私はあなたとSEXは しなくてもよいっていう意味に必然的になるよね。  復縁しても私は自由に生きるわよ。 何一つあなたに文句は言わせない。  80才にもなって流石に余所の男とSEX出来るとは思わないけど、 あなたへの嫌がらせでハッスルしちゃうかも。ハハハっ」 夫は途中から何も言えず、固まって私の破天荒な話を聞いていた。  面白いぐらい、顔を歪ま

  • 『願わくば……』   第51話 ◇それって誰のこと?

    51.「もしかして、浮気してたってこの俺さまだぞ。妻からもずーっと愛され続けてきたんだぞっ、なぁ~んて思ってた? 余所の女たちからモテモテの俺さまから離れられないだろ惚れた者負け……ほれほれっ、文句言わずこの俺さまにかしずいてりゃあいいんだ、とか。あなたの考えはそんなトコだったンじゃない?『そんなわけないっしょ』 ごめーんっ、それがそうでもなかったの。 あなたは、ずーっと昔に私のATMになってたのぉ。 好き勝手してきたのに突然の宣言。 ほんとっ、あなたってズルいよね。 周りの浮気を重ねた不良仲間が次々奥さんから熟年離婚されるのを間の当たりにして、突然今から妻だけに…… 最愛の妻だけに心を捧げて大切にしてゆくことを誓いますって、私や息子たち、義両親、私両親、友人知人集めて宣言するんだもん。 思わず咽(むせ)た。『なぁ~に言っちゃってんのって』 最愛の妻って? 『誰のことよ』 私思わず誰のことなんだって後ろを振り向いたよ。 それ、私のことじゃないわよねって。 あなたにいつから最愛の妻がいたの? 一度聞いてみたかったのよね。 ねぇ~、その最愛の妻って誰のこと? そんな人、いたの? 」「えっ、何を……君のことだよ、決まってるだろ葵のことに決まってるだろ? 何言ってるんだよ。 最愛の妻は葵、君のことだ。 君しかいない、昔も今も、」俺の声は震えていた。言いながら、心もとなかった。 だんだん、自分の思ってたこと今言ってることに自信がなくなっていた。「君がそれほど傷ついていたなんて……すまない。反省している だから、敢えて皆の前であんなふうに宣言もした。こっちに帰って来てくれないか! 今まで通り親子4人で暮らそう。 君の言うことには耳を傾け、大切にしていく。 家族旅行もたくさんして思い出作りもしていこう!     仕事もボチボチ減らしていって、君や家族と過ごす時間を増やしていくつもりだから。考え直してほしい」

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